社会参加の実際・改

2016年お引っ越し。つれづれだらだら雑なテーマで書きます。ま、ちょっとライブ感想多め。

三浦大知 "愛燦燦"を唄う。

書くのが遅くなりましたが、これちょっと書いておかねば、と思いまして。 
(日付は放送日に設定してるけど、実際に書いているのはかなり後)

NHK綜合テレビ『うたコン』
かつて歌謡曲はまぁ好きだったけど演歌の苦手なわたしは、演歌が主流の歌番組はほぼみないんですが、推しの三浦大知さんが出る回のみ見ています。
(ハッキリいっちゃってすみません。が演歌苦手なのは個人の好みなんで仕方ないです。)

最初に出演した昨年は、沢田研二さんカバーの「時の過ぎゆくままに」と EXCITE。
(あとで調べたんだけど)この番組は、いわゆる歌謡界に功績を残した作家やアーティストをよく特集する構成もあり、この回は阿久悠さん特集でした。このカバーも珠玉だったんだけど、語りだすと止まらなくなるので泣く泣くこの回の話題は終了するんですが、、。

60~70代が主要ターゲットというこの番組は、その世代の視聴者がよく知っている昔の歌謡曲や演歌がメインの歌番組っていう雰囲気。なかには内心(まだ現役だったのね)と感心するようなベテランの歌手の方々もいたりして。
だが、出演歌手はベテランと若手(中堅)が半々くらいで、わりと若手も入っている。さらに、演歌歌手だけでなく、リアルにポピュラー系アーティストが1,2組入る。

ただし、ターゲットがあれなので、若手ポップス系歌手は、持ち歌だけでなく往年の名歌謡曲のカバーも歌うのが定番っぽくて、、
つまり、年配層に認知されていなさそうな若手ポップス系歌手をお披露目するみたいな構成になっている。もっと言ってしまえば、、年末の紅白出演候補歌手枠、ともいえる。

なので、昨年この番組でジュリーを唄った三浦さんが、紅白に出演したのは意外な流れではなかったと思うのですね。おそらく今年も…。

話がズレた。

 

そして今回は…美空ひばりさんですよ!
しかも選んだ曲が、「愛燦燦」
やったなあ三浦!!!

 

歌謡界の女王の名曲

SNSで若いファンの方の反応をみていると、、美空ひばりさんの曲=演歌 って誤解している方もちらほらいましたが、ひばりさんは、いわゆる演歌から歌謡曲、Jazzっぽい曲まで何でも歌えるシンガーだったようです。
え~自分はひばりさんの歌を(生ではないけれど)かろうじて聴けていた世代ですが、彼女のディスコグラフィーを改めて眺めると、知らない曲ばかりで驚きます。つまり、彼女はすごく沢山のオリジナル曲を出していたにも関わらず、TVでしょっちゅう唄っていた曲は、超有名な10曲くらいだったわけですね…。
謡曲ファンだったわたしの父などは、たしかひばりさんの全集みたいのを持っていたので、わたしよりは沢山曲を知っていた筈ですが(うろおぼえ)。

彼女のキャリアの後ろの方にかろうじてリアタイで間に合ってる自分の印象は、超有名な歌手。ですが、小椋佳さん作詞・作曲の「愛燦燦」は、演歌でも歌謡曲でもない。当時のジャンルで言えばフォークソング、つまり純然たるポップスです。
もっとも、、当時のかすかな記憶では、同じくポップ路線である最後のシングル「川の流れのように」の方は有名でも、「愛燦燦」は発売当初はそんなに話題でもなかった気がする。あとになって評価が高くなった感じ…だったんじゃないかな?
歌謡界の女王がフォークを唄うって、相当斬新でしたけれどね!!

 

三浦大知の表現力

さて三浦さん版ですが。この回の番組テーマは ”運命の1曲”。
選んだ一曲のエピソードとしては、お祖母さまの思い出の曲ということで、、運命とはちょっと違う?みたいな印象がないでもなかったけれども(その辺は、司会の谷原さんがうまいことうにゃうにゃとまとめてくれていた笑)

にしてもこの選曲ですよ!ひばりさんでポップス系シンガーがとっかかりやすい曲といえばまぁ…川の流れ を選ぶのが常人的発想。だって「愛燦燦」むずかしい曲ですよ~!
あ、いやお祖母様との思い出の曲なわけだから、選曲にそういう要素が入っていたのではないんでしょうが、、まぁ、あんまり選ばないと思いますよね。
(とここで、Wikipediaを見てみたら、カバーしている方いっっっっぱいおられました笑な~んだみんなカバーしてたんだ笑笑)

でもやっぱりむずかしい曲だと思います。
基本的にわたしは、ご本人バージョンと、セルフカバーである小椋佳さんバージョンを超えるものはないだろうな、って思ってますから(笑)

しかし、この番組で、、三浦大知がこの歌をうたいはじめたときに
(すごい…すごい…!)
という感想しか思い浮かびませんでした。

まず、出だしの1声、こういう踊らない曲を唄う三浦さんにしては珍しく、音程が揺らぎました。
キーが高い!絶対音感がないので確証なかったけど、これもしかしてひばりさんの原キーでは!?

三浦さん声高めとはいっても男性。ひばりさん声低めとはいっても女性。声が出るかでないか、というよりいちばん得意とする音域が異なる筈です。てか異なります。
人間だれしも自然な状態では、地声で歌う部分と、高域で張り上げる部分は発声が異なると思う。その境目の音域は、、微妙なコントロールの必要なセンシティブな部分になると思う。
この曲の1声めは、三浦さんにとって、そういう、、いちばん微妙でコントロールしづらい高さだった筈。しかもボリューム的には強い声でなくピアノかメゾピアノです。

すごいチャレンジングだなぁ!!

そして2音目以降は丁寧に丁寧に声をコントロールし、次のフレーズではより力強く骨太に、フレーズを重ねるにつれてどんどん声のパワーが増して、自信も増して、
終盤の声の広がりはもう…いうことなく感動的なものでした!!

わたしは場違いにも、『SWAN』の聖真澄が、ブラックスワンでグランフェッテ最初ぐらついて、32回転する間にどんどん姿勢を正して最後は足を高々とあげる…っていうあのシーンを思い浮かべてました(笑)…ははは

 

話を戻しますと、三浦さん、声量あって歌はうまいけれども、音域は、歌手のなかでとくべつに広い方ではないんですよね。生まれつき声域の広いシンガーに比べたらけっこう不利で、実際、若いころよりハイトーンは伸びなくなってきて本人がいちばん実感しているはずだ。
それなのに、自分の声が楽に響く音域にキーを変えるのではなく、あえて苦しいキーをチョイスしようとしている。(…ようにわたしには思えた。実は違うのかも違ったらすみません)

マスメディア的は、ここ1,2年で大ブレイクしたとされ、おもにダンス面で評価されている三浦さんですが、
今年は苦手目だったファルセットを強化して、むしろ武器ともいえるレベルに磨き上げてみせてくれた「球体」公演といい、今回の、難しいキーで超有名曲を歌うといい、
ここ最近の彼の志向は、むしろ苦手目だった部分について地道に努力を重ねて改善し、真の意味での実力を一歩ずつ進化させていくことに力を注いでいる気がする。
大評価されたからこそ、浮ついた気持ちにならないように気を引き締めているのかもしれないし、実際に、地味にではあるが着実に進化していて
もとから素晴らしい部分を、いっそう輝かせて、いっそう器の大きいアーティストになっている、いやなっていっている(進行形)気がする。

いやあ…こういう局面で、図に乗ることなく、淡々と弱点を克服するって!
なんというストイックさ!!

いやあ…すごいとは思っていたけれども本当にすごい人だわ三浦大知。我々、すごいアーティストに出会ってしまっていますよね!!
かれの人生に間に合って…本当に幸運なことだ。

 

話が前後しまして、冒頭に書いたように実はこの記事、実は放送の半月以上あとから書いてるんですけど、Sam Smithね。
そう Sam Smithの歌声を生で聴いたときに、三浦さんのアプローチも同じジャンルかなぁ、と感じました。

実年齢は Samの方が三浦さんより年下で、まぁおそらくあの人は最初から天才の部類だったとは思うんです。

音域の話といい、絶対音感といい、三浦さんの才能はおそらく、、そういう世界レベルの大天才に比べたらパーフェクトではないのかもしれない。
しかし、、だからこそ、弱い足場を地道に補強しながら、それでも高みを目指して一歩一歩上り詰めようとする姿勢に感動するのかな、って思うのです。

ああそれと、三浦さんはビブラートが苦手、とされていますがね
John Legendさんの歌を聴いたときにも思ったんだけど、John Legendも Sam Smithも、いわゆる一般的にいわれているビブラートみたいなテクニックはあまり多用しないんです。
クラシックのオペラなんかだと、広い会場に生声を響かせなければいけないので、声を震わせるビブラートをテクニック的に使うわけなんですが、
John Legendさんは、まぁベテランなのでそれこそ魔術のように自由自在にビブラートを入れてくるけど基本はストレート。そしてより年若い Sam Smithは、基本的にストレートです。ただ語尾に、音程ではなく音量が揺れるタイプのビブラートがかかります。

音程の揺れるタイプのビブラート、シンプルなメロディのクラシックならいいのですが、それ以外のジャンルだと…個人的に(やりすぎてて不快)と感じることがあります。ビブラートっていうより音程が揺れてるようにしか聞こえないんですね。
しかし部分的に揺れるとか、音量が揺れるタイプとかはすごく心地いい。
だから、三浦さんが音程を揺らさないのはむしろ好ましいと前から感じていて。

それを踏まえて敢えて言うんですけど、最近の三浦さんの歌では、ストレートな声の語尾の部分、音量が揺らいで美しいビブラートかかってることがありまして。

前置きすっごく長くなりましたが(笑)、うたコンの「愛燦燦」では、サビのフレーズで、そうした音量型のビブラートを聴くことができます。

 

うたコンのあの歌唱は、本人的には、満足のいく内容ではなかったと思うし、本人の思うように歌えていたら、あのパフォーマンスをはるかに凌駕するクオリティだったことは間違いないけれど、まぁ本番のパフォーマンスが結果ですから。
きっと本人には悔しさも残っただろうから、いつかまた、何かの機会に、より完璧に近い唄がきけると確信しています^^

彼はもともとうまい人だけれども、年齢を重ねていくにつれ、より高く芸を磨いてゆける人。
いつまでも応援していたい、ほんとうにいつまでも未来が楽しみなアーティストです。

 

長生きしなくちゃwww